東京五色不動 御朱印めぐり
不動明王は、真言宗や天台宗などの密教特有の尊格である明王の一つで、大日如来が衆生を教化する上で、
忿怒の相を持って現れた化身と言われています。
五色不動(ごしきふどう)は、五行思想に基づく五色(白・黒・赤・青・黄)の色にまつわる名称を持つ
不動明王を言います。とりわけ目白不動、目黒不動、目赤不動は江戸時代から三不動として信仰を集めていたようです。
この記事では、この東京五色不動と言われる5の寺院を巡る御朱印めぐりを紹介しています。
金乗院 (目白不動)
金乗院は、地下鉄副都心線の雑司ヶ谷駅から徒歩5分ほどの豊島区高田にある真言宗豊山派の寺院です。
山号は神霊山、本尊は聖観世音菩薩になります。
創建は天正年間(1573~1592)、開山の僧永順が本尊の聖観音を勧請して観音堂を築いたのが始まりになるそうです。
当初は蓮花山金乗院といい中野にある宝仙寺の末寺でありましたが後に、神霊山金乗院と改め護国寺の末寺になったようです。
山門は、200年ほど前に建てられたものだそうです。
目白不動明王は、元々は1キロほど離れた文京区関口にあった新長谷寺の本尊であったものだそうですが、
昭和20年の戦災により新長谷寺が焼失したため、金乗院に移されたそうです。
不動明王像は、目黒、目赤などの五色不動の一つであり、三代将軍徳川家光の命により、「目白不動」と
称されるようになったようです。そしてこの「目白」が、この地の地名になったそうです。
目白不動明王像(秘仏)は、弘法大師空海が出羽の湯殿山で修業をされた時に自ら刻まれたと言われるもので、
高さ8寸(25センチ)ほどの木像になるそうです。
本堂の前には、弘法大師像が建っています。
いただいた御朱印には、「目白不動明王」と書かれていました。
瀧泉寺 (目黒不動尊)
瀧泉寺(りゅうせんじ)は、東急目黒線の不動前駅から徒歩8分程度の目黒区下目黒にある天台宗の寺院です。
山号は泰叡山、不動明王を本尊としていますので、「目黒不動」(目黒不動尊)と呼ばれています。「目黒」の
地名はこの目黒不動に由来するそうです。
こちらの縁起によりますと、808年に、十五歳の慈覚大師、円仁が下野国から比叡山に
赴く途中に不動明王を安置したのが始まりだそうです。
関東最古の不動霊場として、熊本の木原不動尊、千葉の成田不動尊と併せて
日本三大不動の一つに数えられているとのことです。
仁王門(写真上)から境内に入ると、正面に本堂に続く男坂の階段が目に入ります。
男坂手前の左手に池があり、2体の龍の口から水が吐き出ています。
寺に伝わる言い伝えでは、円仁が寺地を定めようとして独鈷という仏具の一種を投げた
ところ、その落下した所から泉が涌き出し、今日まで枯れずに水がわいているとのことです。
男坂の階段を上ると正面に不動明王を本尊とする本堂(写真下)が控えています。
いただいた御朱印には、「不動明王」と書かれていました。
本堂の裏手には、不動明王の本地佛(本来の姿)になる大日如来の銅製の仏像が祀られています。
不動明王は、大日に如来が衆生を教化する上で、忿怒の相を持って現れたもの(化身)と言われています。
南谷寺 (目赤不動)
南谷寺(なんこくじ)は、南北線の本駒込の駅から徒歩2分、文京区本駒込にある天台宗の寺院です。
山号は大聖山、本尊は不動明王になります。不動明王は、江戸五色不動の一つであり、「目赤不動」と呼ばれています。
寺の縁起によりますと、創建は元和二年(1616)、開基は万行律師になります。万行律師は不動明王を信奉し、ある時、
今の三重県赤目山で修行をかさねていた時、1寸2分の不動明王像を授かり江戸に赴いたそうです。
当初は駒込動坂(堂坂)に庵を結び“赤目不動尊”と称したそうです。そして寛永年間、三代将軍家光が鷹狩の途中に訪れ、
目黒・目白の不動尊にちなみ“目赤不動”と改称するよう申し渡されたのだそうです。
下の写真は、不動明王を安置する不動堂になります。
いただいた御朱印には、「目赤不動尊」と書かれていました。
教学院 太子堂 (目青不動)
教学院は、三軒茶屋駅から徒歩5分、東京都世田谷区太子堂にある天台宗の寺院です。山号は竹園山、本尊は
阿弥陀如来、正式名称は「竹園山最勝寺教学院」になります。「目青不動」を安置する寺として知られています。
創建は応長元年(1311)、玄応和尚によって開かれた寺と伝わっています。
不動堂(写真下)には、秘仏である目青不動が安置されています。目青不動は、明治時代に麻布にあった観行寺
という寺が廃寺になったことに伴って、教学院に遷されたそうです。
いただいた御朱印には、「目青不動明王」と書かれていました。
最勝寺 (目黄不動)
最勝寺(さいしょうじ)は、総武線平井駅から徒歩15分、荒川の河岸、江戸川区平井にある天台宗の寺院です。
山号は牛宝山、本尊は釈迦如来になります。
寺の案内よりますと、創建は貞観二年(860)、慈覚大師円仁によると伝えられています。
下の写真は、本尊の釈迦如来が安置されている本堂になります。
不動堂には、目黄不動明王像が安置されていて、最勝寺は通称「目黄不動」と呼ばれています。
いただいた御朱印には、「目黄不動尊」と書かれていました。