明月院、長谷寺、成就院、本土寺、妙楽寺 あじさい寺御朱印めぐり
6月の雨上がり、山あいの古刹の境内にしっとりと濡れたあじさい、やはり絵になるものです。
この記事では、松戸市にある本土寺、川崎市にある妙楽寺、そしてあじさいめぐりには外せ
ない鎌倉の明月院、長谷寺、成就院の東京周辺計5か寺を紹介しています。
本土寺 (松戸市)
本土寺は、JR常磐線北小金駅から北へ10分程度の松戸市平賀にある日蓮宗の寺院です。
山号は長谷山、本尊は一尊四士になります。“一尊四士”とは釈迦如来と脇侍の四菩薩を表した
言葉で、日蓮宗で本尊を表現する一つの形態になるようです。
本土寺の創建は建治三年(1277)、源氏の名門“平賀家”の屋敷跡に、日蓮上人の支援者だった
当地の領主、曽谷教信が法華堂を開いたのが始まりだそうです。
その後、日蓮上人から長谷山本土寺と寺号を授かったそうです。
池上の本門寺、鎌倉の妙本寺とともに朗門の三長三本と称される日蓮宗の名刹です。
“朗門”とは、平賀家の出で日蓮の弟子であった「日朗」の門流という意味で、「三長三本」とは、
上記3か寺の山号や寺号にいずれも「長」「本」の字が含まれることからきているそうです。
山門は朱塗りの仁王門(写真上)、江戸時代初期に建てられたもので、正面には「長谷山」の扁額が掲っています。
本堂の右手前には、平成三年に建てられた五重塔が建っています。
本堂は、慶安四年(1651)に再建されたもので、木造銅板葺の建物です。
寺務所でいただいた御朱印には、お題目「南無妙法蓮華経」 と書かれていました。
境内の東端、菖蒲池の近くには“像師堂”があります。像師とは、平賀三兄弟(三聖人)の長兄
日朗の弟で、日蓮聖人から京都での布教を託され苦難の中でそれをやり抜いた「日像上人」
になります。像師堂のある場所は、日像上人が生まれた場所になるそうです。
本土寺の境内には1万株のあじさいが植わっていて、「あじさい寺」とも呼ばれ親しまれています。
訪れたのが6月半ば、境内には5000株の花菖蒲があり、アジサイと花菖蒲が一緒に咲いて、
花盛りの本土寺でした。
妙楽寺 (川崎市)
妙楽寺は、川崎市多摩区、多摩川を眼下に望む長尾丘陵と呼ばれる丘の上にある天台宗の寺院です。
山号は長尾山、本尊は阿弥陀如来になります。
妙楽寺は、川崎市教育委員会のまとめによると、『吾妻鏡』に登場する源家累代の祈祷所であった
威光寺(平安時代初期に円仁により開かれた)との関連が強いそうで、その一坊であったのではと
言われています。
いずれにしても歴史が古く、由緒ある寺と言えそうです。
本堂脇には、かなり大きな音を奏でる“水琴窟”がその根を響かせていました。
いただいた御朱印には、本尊である“阿弥陀如来”と書かれていました。
妙楽寺の境内には、アジサイが1000株以上も植えられており、季節はちょうど6月中旬、
境内は見事なまでのあじさいで埋まっていました。
大宝八幡宮 (下妻市)
大宝八幡宮は、茨城県下妻市、関東鉄道常総線大宝駅から徒歩3分のところにある神社です。大宝律令が制定された大宝元年(701)、藤原時忠公が筑紫国宇佐の八幡神を勧請し、創建したのがはじまりとされ、関東最古の八幡神社になります。
主祭神には、八幡神、誉田別命(ほんだわけのみこと);応神天皇を祀っています。
大宝駅からきますと、間もなく三の鳥居が迎えてくれます。
三の鳥居の左側には、相撲場ができています。ここで毎年、高砂部屋がけいこ合宿をするそうです。
そして隋神門をくぐり拝殿に向かいます。隋神門には、仁王像が祀られています。大宝八幡宮は以前は神仏習合、その名残を感じさせる隋神門です。
そして拝殿になります。拝殿の奥に本殿があります。
本殿の奥、北側には「あじさい神苑」があります。
こちらのあじさいは、とにかく種類が多いのが特徴です。訪れたのは6月30日、あじさい植物園のように多種多様なあじさいが、自然に近い形で咲いていました。
明月院 (鎌倉市)
明月院は、北鎌倉の駅から建長寺方向に10分ほど歩いた所にあります。
線路沿いの道を左に折れ、北鎌倉の風情を感じる道を途中、葉祥明氏の美術館を左に見ながら
行くと間もなく明月院に到着です。
明月院は、臨済宗建長寺派の寺院で、山号は福源山、本尊は聖観世音菩薩になります。
応永元年(1394)、関東管領であった上杉憲方が密室守厳を開山として、創建した寺になります。
方丈(写真上)でいただいた御朱印には、本尊の“聖観世音菩薩”と書かれています。
明月院は、別名“あじさい寺”とも呼ばれ、毎年6月になりますと、参道は紫陽花を一目見ようと
する観光客で長蛇の列が出来る寺です。
下の写真は、鎌倉石が敷き詰められた山門、方丈に通じる参道に茂るあじさいの写真です。
明月院のあじさいは、“明月院ブルー”とも呼ばれる鮮やかな空色の『ヒメアジサイ』(写真上)が中心ですが、
中には、写真のようなあじさいも見ることが出来ます。
長谷寺 (鎌倉市)
長谷寺は、江ノ電の長谷駅から3分程度の所にある浄土宗系の寺院で、『長谷観音』として知られています。
長谷寺は、聖武天皇の時代、天平8年(736)に開かれた鎌倉有数の古刹です。
本尊の十一面観音菩薩像は、像高9.18メートルにも及び、日本最大級の木彫り像です。下の写真は、十一面観音菩薩が安置されている本堂になります。
こちらの縁起によりますと、当山の十一面観音菩薩像は、奈良の長谷寺の開山である徳道上人の
本願に基づき、二人の仏師によって楠の巨木から造形された2体の観音像の一つという言い伝え
があるそうです。
一体は奈良の長谷寺に、残る一体は、有縁の地における衆生済度の請願を込め海中に奉じられたそうです。
それが相模の国の洋上に顕われ、鎌倉長谷寺の開創の礎になったそうです。
いただいた御朱印には、“十一面大悲殿”と書かれています。
十一面観世音菩薩様がいらっしゃるお堂ということになると思います。
あじさいは、上境内の大黒天を祀る大黒堂の横から『あじさいの径(こみち)』と呼ばれる
眺望散策路一帯に咲いています。あじさいの種類はおよそ40種、2,500株にのぼるあじさいが
今を盛りに咲き誇っていました。下の写真が、あじさいの径一体のあじさいになります。
成就院 (鎌倉市)
成就院は、江ノ電極楽寺駅から徒歩5分ほどの所にある真言宗大覚寺派の寺院です。
山号は普明山、寺号は法立寺、本尊は不動明王になります。
創建は、承久元年(1219)、三代執権北条泰時により、本尊に“不動明王”を祀り北条氏の発展を
祈った寺と言われています。
いただいた御朱印にも、本尊である“不動明王”と書かれています。
成就院も“あじさいの寺”と呼ばれています。
眼下に由比ヶ浜を望む108段の階段の両側に、般若心経の文字数と同じ262株のあじさいが、
元寇の役の供養のために植えられているそうです。
毎年6月のあじさいのピーク時には、最寄りの極楽寺の駅まであじさい見物の観光客の行列が
続くほどのにぎわいだそうです。
下の写真が、成就院の参道に咲くあじさいです。