西明寺・金剛輪寺・百済寺 湖東三山御朱印めぐり
琵琶湖の東側、鈴鹿山脈の西麓に位置する西明寺、金剛輪寺、百済寺の三つの天台宗の名刹は、総称して“湖東三山”と呼ばれています。国宝や重要文化財が多数保存されており、新緑や紅葉を求めて多くの観光客や参拝者が訪れる所です。
西明寺
西明寺は、滋賀県甲良町にある天台宗の寺院です。山号は龍応山、本尊は薬師如
来になります。
寺伝によりますと西明寺の創建は、平安時代初期の承和元年(834)、三修上人に
よるそうです。
琵琶湖の西岸を歩いていた上人が、対岸の山に紫の雲のたなびくのを見て不思議
に思い対岸に渡ると、西明寺のある山の中の池から光がさしていて、中から薬師
如来の像が出現してきたそうです。
京の方向を明るく照らす寺と言うことで“西明寺”と名付けられたようです。
境内の長く続く参道を歩いた先、本堂の前に二天門が建っています。
本尊薬師如来立像が安置されている本堂(国宝) は 檜皮葺きの建物で、鎌倉時代
前期を代表する建物です。
本堂の右側に立つ三重塔は、本堂と同じ檜皮葺きの塔でこちらは鎌倉時代後期に
建てられたそうで、国宝になっています。
いただいた御朱印には、薬師如来をお祀りしているお堂“醫王殿”と墨書きされてい
ました。
金剛輪寺
金剛輪寺は、滋賀県愛荘町にある天台宗の寺院です。山号は松峯山、本尊は聖観
世音菩薩になります。
寺の歴史によりますと、創建は天平十三年(741)、聖武天皇の勅願により行基に
より開かれたそうです。
また平安時代の初めに慈覚大師円仁により、天台宗延暦寺の末寺として再興・発展
したそうです。
境内は広大で、千体地蔵の並ぶ参道(写真上)を三、四百メートル登った所に二
天門(写真下)、その先に本堂、本堂の左に三重塔があります。
元寇の役の戦勝記念として建てられたという本堂は、鎌倉時代の代表的な和様建
造物として国宝に指定されています。
三重塔や二天門は、重要文化財に指定されています。
金剛輪寺の本坊にある明寿院には、1600年前後に整備された池泉回遊式庭園があ
り、紅葉の愛でる参拝客でにぎわっていました。
いただいた御朱印には、本尊の“聖観世音”と書かれていました。
百済寺
百済寺は、滋賀県東近江市にある天台宗の寺院です。
寺の縁起によりますと、創建は推古天皇十四年(606)、開基は聖徳太子によると
伝えられています。
山号は釈迦山、本尊は十一面観世音菩薩になります。
本尊の十一面観世音菩薩は「植木観音」と呼ばれる聖徳太子自作の仏像と伝えら
れています。
「植木観音」と呼ばれるようになったのは、聖徳太子が根の付いたままの幹に十
一面観音を彫られたことに由来するそうです。
太子が観音さまを彫られた木の上半分は、太子がこの地に入る前に海を越え百済
に運ばれ龍雲寺と言う寺の本尊になっていたそうです。
百済の龍雲寺と百済寺の本尊は、同木から彫られた観音さまと言うことになります。境内は、赤門(写真上)から長い表参道を登っていきます。
表参道を登り切った所に本坊、本坊の庭園は別名「天下遠望の名園」と称され、
近江の地を見下ろすことが出来ます。
創建当時の堂宇は焼失し、現在の仁王門や本堂は、江戸時代前期に再建されたも
のになります。
いただいた御朱印には、“植木観音”と書かれていました。